methods for hydroponics

【作物栽培用の高濃度酸素培養液を作成するために必要なこと】

1. 高純度の酸素ガスで灌漑水(または水耕栽培用培養液)を曝気する.
 空気には酸素が21%しか含まれていないので,どんなに曝気しても、灌漑水や培養液の溶存酸素濃
 度は最大で10 ppm(mg/L)程度までしか上昇しません.この程度の濃度では、大量に栽培されてい
 る作物の夜間における酸素需要を賄うことができません.高濃度酸素水(溶存酸素濃度 20 ppm以
 上)を作成して作物の栽培に使用する必要があります.そのためには高純度の酸素ガスで灌漑水
 (培養液)を曝気する必要があります. 
2. 高効率で酸素ガスを灌漑水(培養液)に溶解させて,高濃度酸素水を迅速に作成する.
 実際の農場では大量の灌漑水(培養液)を使用するので,高濃度酸素水を効率良く作成する必要が
 あります.そのためには,従来のミリサイズの泡ではなく,水中への溶解効率が飛躍的に高いマイク
 ロバブルを用いて曝気する必要があります.ーーーー マイクロバブル発生装置の利用
3. 曝気コストを考慮して,酸素ボンベではなく,酸素濃縮器(PSA)を使用する.
 純酸素ガスを充填した酸素ボンベを使用すると,曝気にコストがかかり過ぎます.PSAを使うと,
 空気中の酸素を濃縮して,純度約90%の酸素ガスをわずかな電気代で作ることができるので,曝気
 コストを大幅に削減することができます.ーーー 酸素濃縮器(PSA)の利用

水耕栽培用のeco-バブル®-400を用いた高濃度酸素水作成装置

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装置の構成:水槽(1,000 L),酸素濃縮器(PSA),eco-バブル®-400.合計電力消費量 0.7kWh)

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【実験条件】

eco-バブル®-400 注1)
水温:18.9 ℃, PSAより毎分1 Lの90%酸素ガスを発生させて水槽の中のeco-バブル®-400に送り,マイクロ・ナノバブルにして水を曝気した.

エアーストーン 注2)
水温:18.8 ℃, PSAより毎分3 Lの90%酸素ガスを発生させて水槽の中のエアーストーンに送り,通常のミリサイズのバブルで水を曝気した.


注1)eco-バブル®-400でマイクロ・ナノバブルを発生させるための最適通気量は,水道水のような粘性の低い液体中では毎分1〜2 Lとなります.(海水のような粘性の高い液体中では,最大毎分20 Lまで対応します.) この値より通気量を大きくすると,発生するマイクロ・ナノバブルが減少してミリバブルがより多く発生するようになります.

注2)水槽の水をエアーストーンから発生したミリバブルで曝気した実験では,使用したPSAの90%酸素ガス発生量を最大値(毎分3 L)に設定しました.

【この実験結果が意味すること】
 作物の水耕栽培では溶存酸素濃度 20 ppm(mg/L)以上の高濃度酸素水の使用を推奨します.実際の使用時に,灌漑水が作物に届いた時点の濃度を20 ppm以上とするためには,さらに高い濃度の酸素水を作成する必要があります.ところが,溶存酸素濃度が高濃度になればなるほど,エアーストーンから発生するミリバブルでは酸素ガスの水中への溶解効率が低くなり,長時間を要するようになります.

農場では大量の灌漑水が必要となり,eco-バブル®による灌漑水の曝気が不可欠となります.

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